調香師の香水手帖”Blue Violet'22"
ブルーバイオレットは、日本名:ニオイスミレといい、
濃い紫色の約2センチくらいの小さな花です。
ヨーロッパアルプスのワイルドな森にひっそりと怪しげに咲いているイメージです。
その小さな花の香りにとても魅せられます。
贅沢な王妃たちの香りに対する感性は、
おそらく日々お花の香りを嗅ぎ分ける事で、
その能力が研ぎ澄まされていったのだと思います。
遠いところからゆっくりとかすかに飛んでくる香りが素晴らしいと
感じていた王妃たちの脳が香りを記憶し学習してゆき、
それを身に纏うことでリラックスして感情を抑えていた可能性もあると思います。
文献を読むと貴婦人たちが専属調香師にバイオレットの香水を作らせていました。
アタシはバイオレットの弱くて強い香りの正体を探しています。
実際畑に植え、化学分析も毎年繰り返してきたことで香りについて少しわかってきました。
いったり来たりを繰り返してバイオレットの虜になっています。
今回のブルーバイオレットは6年くらい眠りについていたものを昨年からブレンドして仕上げました。
肌についたときの香りの評価を優先しました。
マリーアントネット王妃が肌につけて嗅いだあとにアタシに何と云うだろうと。。。
嗅いではいただけないので夢の世界のお話で残念です。
アタシの中の基準がだんだん高くなってきていますが、
それを超えた作品でないと許せなくなりました。。
その基準は、これを自分が作ったのか?これはどこの香水だ!と驚きを感じた時に合格します。
アタシは才能もなく不器用なのでいつも自分を信じていません。
なので失敗を繰り返しても成功するまでやめないのです。進化しているのかはわかりませんが。
さてブルーバイオレットはどんな香りでしょうか?
控えめであり、弱そうで実は強いのです。可愛らしくて芯の持った気品と紫色を表現しています。
フレッシュグリーンが最初に飛んでくる。
次は静かなチャーミングノートからクリーミーなエアーノートの延長線上に移行。
ラストはパワフルスイートノート(バニラではない)。
自然にふわっと優しく強く肌に乗っています。
それぞれの肌にのせて夢の香り旅をお楽しみください。
なくなりごめんです。
まこと虫
5mL 9,680円(税込)
30mL 46,200円(税込)
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