調香師の香水手帖”Iris Natural Oil Parfum'25"
先日完売したIris Natural Parfumの香りを有機ホホバ油で作りました。
<イリスの研究の歴史>
1893 年 Tiemann 及び Kruger がイリスの根茎から抽出した精油から
香気成分イロンを発見し 構造式を推定しました。
が、Ruzicka が誤りを指摘し1933 年イロンの分子式は(C14H22O)であること を
証明しました。このあとRuzicka はムスクの研究でノーベル賞を受賞しています。
それから現在まで一世紀もの間イロンの研究は終わることなく続けられていますが、
現在まで全合成の成功していませんでした。
全合成(Total synthesis)とは、最小単位の原料から天然生物活性物質(天然物)を
人工的に化学合成することを意味します。
天然イリスが重宝されるのは、天然イリスの根茎から抽出された香料にしか
パウダリーノートがないからです。
しかし、イリス根茎の香気成分のα-Irone 25%、γ-Irone75%、微量のβ-Ironeの
どのイロンに純粋なパウダリーノートがあるか分かっていませんでした。
アンティアンティの長年の研究の末、パウダリーノートが微量のβ-Ironeにあることがわかりました。
そして、イリス根茎にある嗅覚異性体分子β -Ironeの全合成に成功しました。
その香調はGreen Fruity 、Rich Floral 、Powerful and Long-lasting Powdery note。
高純度のβ-Ironeは天然イリス香料と同等以上の最も閾値が高いパウダリーノートでした。
2024年に私が尊敬するGivaudan のダニエラ・アンドリエに【β-Irone 純度97%】を
評価していただきました。
イリスの全合成の成功に至るまで長年にわたりご指導いただいた
シニア有機化学者山崎博士に感謝申し上げます。
山崎博士の研究室は現在アンティアンティ2階にあります。
2022年イリス根茎にあるβ-Irone 純度97%の全合成を開発して国際特許申請しました。
βイロンの製造方法は、公開されます 。
PCT/JP2023/40285
<なぜイロンの天然香料が特別なのか? >
天然イリス根茎から抽出された香料のみが自然なパウダリーノートを持っていて、
特別にグルメノートと香水に使用することで魔法がかかったように仕上がるのです。〈dsm-firmenich)
<世界有名香水に挑戦状>
PRADAのInfusion d’Iris Eau de Parfumはダニエラ・アンドリエの作品、
FREDERIC MALLEのIRIS POUDRE、LE LABO IRIS 39など有名な香水があります。
Iris Natural Parfum の香調は透明感のある自然なGreen Fruity 、Rich Floral 、
Powerful and Long-lasting Powdery noteです。
β-Irone 、ORRIS Absolute、ROSE OTTO、 ROSE MD OIL、
SANDALWOOD NEWCALEDONIA、BOURBON VANILLA Co2などを
ブレンドして仕上げました。
それぞれのお肌と融合した香りは、天に登るような感覚を体験できるでしょう…。
有機ホホバ油ベースはエタノールに比べて自然に香ります。
売り切れごめんです。
まこと虫
5mL 9,900円(税込)
2025年5月15日(木)午前10時発売
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